外壁の目地補修は、塗装の前に行う「先打ち」と、塗装の後に行う「後打ち」があります。目地の上まで塗る仕上げか、目地を露出させる仕上げかによって、適した順番が変わります。使う塗料とシーリング材の施工仕様に合わせて選ぶことが大切です。
この記事では、当社の施工写真を使い、工事途中の見た目の違いと、クリアー塗装で後打ちを行う理由を説明します。
先打ち・後打ちとは?違いは「塗装との順番」
- 先打ち:目地補修 → 必要な硬化時間 → 外壁塗装
- 先に目地のシーリングを施工し、その上を塗膜で覆います。外壁と目地を同じ色で仕上げる場合などに用います。
- 後打ち:外壁塗装 → 必要な乾燥時間 → 目地補修
- 外壁の塗装後にシーリングを施工します。完成後もシーリング材そのものの色と表面が見えます。
どちらが常に優れている、というものではありません。同じ建物でも塗装の仕上げや部位によって施工順が変わることがあります。
「先打ち・後打ち」は作業の順番、「打ち替え・増し打ち」は補修方法の違いです。後打ちだから増し打ち、という意味ではありません。順番と補修方法は分けて確認しましょう。
先打ちの写真は、外壁塗装前の途中段階です

写真では、外壁と補修材の色が異なるため、目地の白い線が目立っています。これは目地の打ち替えを終え、これから外壁を塗る段階です。着色塗装で目地の上も覆う場合は、塗装後に見え方が変わります。
先打ちには、塗膜によってシーリング材への紫外線などの影響を抑えられる利点があります。一方で、材料の組み合わせや建物の動きによって、目地上の塗膜にひび割れや剥がれが起こることもあります。上から塗れる材料を選び、製品が指定する塗装可能な時期を守ることが欠かせません。「何日待てばよいか」は材料や気温などの条件で変わるため、一律の日数では判断できません。
「後で塗るから、補修は大まかでよい」という意味ではありません。充填や密着、仕上げを確認することは先打ち・後打ちに共通です。写真の見た目だけで良否を決めず、どの工程の状態なのかを確かめましょう。
クリアー塗装で後打ちを行うのはなぜ?
クリアー塗装は、透明な塗料で外壁の模様を活かす仕上げです。シーリング材の上に塗った場合、組み合わせによって密着不良が起きたり、目地の動きに塗膜が追従できず割れたりすることがあります。
そのため、シーリングの後打ちを指定・推奨するクリアー塗料があります。例えば、大日本塗料の「SBライズコートシステム」のカタログでは、シーリングへの直接塗布による密着不良を避けるため、原則として後打ちとする注意事項が示されています。
クリアー塗料すべてを一律に扱わず、実際に使用する製品の仕様に従って施工順と材料を決めます。ここで挙げたメーカー資料は工法を理解するための参考であり、掲載写真で使った製品を特定するものではありません。
後打ちは、目地の色と線の仕上がりがそのまま見えます

後打ちでは、シーリングの上を着色塗料で覆いません。そのため、外壁や既存の目地色との調和を考えて材料の色を選びます。目地を目立たせたくないのか、線を活かしたいのかも、事前に確認したい点です。
施工では、周囲を養生し、材料を充填してへらで整え、テープを撤去します。外壁の凹凸に沿って境目を整える作業は、仕上がりを左右します。ただし、線がきれいに見えることだけでは、内部の充填状態や密着まで確認できません。仕上がりとあわせて、撤去や下地処理などの工程写真も確認しましょう。

写真は当社の別々の施工例です。先打ちと後打ちの写真は、同じ建物の施工前後を比較したものではありません。
ボンドブレーカーは、打ち替えのたびに交換するの?
古いシーリングを撤去した後、ボンドブレーカーの状態を確認します。傷みがなく機能しているものは活かし、切れたり剥がれたりした箇所は貼り直します。塗りチョクでは、目地幅に合う各サイズのボンドブレーカーを常備しています。切れたり剥がれたりした箇所に、その場で対応できるようにするためです。使用する材料や工法で交換・新設の指定がある場合は、その仕様に従います。
ボンドブレーカーは、シーリング材が目地の底に接着するのを防ぐためのテープです。動きのあるサイディングの板間目地では、左右の外壁に接着させ、底には接着させない「二面接着」にすることで、伸縮への追従性を確保します。底にも接着する「三面接着」では動きが拘束され、破断や剥離の原因になります。
- 既存を活かす判断:撤去後も破れ・剥がれ・浮き・劣化などがなく、使用するシーリング材が底面に接着しない状態を確保でき、施工仕様にも適合する場合。
- 貼り替え・補修などが必要な判断:破れや欠落、剥がれ、浮き、劣化がある場合や、既存のままでは底面への接着を防げない場合。古いシーリングの撤去作業で傷めた箇所も確認します。
テープが残っているだけで機能が十分とは限りません。また、目地底の部材自体にシーリングが接着しにくい加工がある製品もあります。大切なのは、貼り替えたかどうかだけで工事の良否を決めず、目地の構造と材料に合った接着状態が確保されているかを確認することです。この説明は主にサイディングの板間目地を対象とし、すべての部位に同じ方法を当てはめるものではありません。
参考:アステックペイント「ボンドブレーカー」(役割と材料の相性)、コニシ「シーリング材の改修工法」(目地の状況と下地処理)、ニチハ「左右接合部・防水部」(離型性を備えた部材の例)。確認日:2026年11月6日。既存を活かす判断については当社の考え方を示したもので、各メーカーが一律に再利用を認めているという意味ではありません。
工事前に確認しておきたい3つのこと
- 目地は塗装の前・後のどちらで施工するか。
使用する塗料とシーリング材に合う理由も聞いておくと、途中の状態を見たときに理解しやすくなります。 - 打ち替えか、増し打ちか。施工する範囲はどこか。
古い材料を撤去して新しくする打ち替えと、既存材の上に追加する増し打ちは異なる作業です。部位ごとの方法と範囲を見積書で確認しましょう。 - 目地補修の費用が含まれているか。
外壁塗装の金額だけで比較せず、目地補修を含めた内容と総額で確認することが大切です。
塗りチョクでは、目地の打ち替え・増し打ちは外壁塗装パックと別途お見積もりです。パックに含まれる細かなひび割れや、部分コーキングで塞げる穴・隙間の補修とは区別し、お見積もり時に内容と費用をご案内します。
工事途中の写真は、完成後に見えなくなる作業を確かめる手がかりです。「これは補修後なのか、塗装まで終えた状態なのか」を確認すると、仕上がりの違いを理解しやすくなります。
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参考資料
資料確認日:2026年11月6日。実際の施工では、使用製品の最新の仕様書・施工要領を確認します。
- アステックペイント「シーリングの上に塗装しても大丈夫?」:先打ち・後打ちの考え方と材料の相性。
- 大日本塗料「SBライズコートシステム」カタログ(PDF・7ページ):シーリング後打ちに関する施工上の注意。
